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ナノテク新素材技術
ナノテクによる天然色素の安定化に成功
新素材「機能性有機物ナノハイブリッド材料」の量産化を開始

2004年02月06日

太陽化学株式会社(本社:三重県四日市市、代表取締役社長:山崎長宏)は、株式会社豊田中央研究所(本社:愛知県長久手町、代表取締役所長:石川宣勝)とライセンス契約を締結し、葉緑素など耐光性の低い天然色素を飛躍的に安定化する技術に成功しました。 また、この安定化に不可欠なナノテク新素材「ナノポーラスシリカ;FSM」の量産化に踏み込み、さらに多方面での応用を目指して機能性有機物ハイブリッドの開発を開始します。

本件は、豊田中央研究所の基礎研究(サイエンス)と太陽化学の界面制御技術(テクノロジー)のコラボレーションを核とする新規ナノ技術です。これは、東海ものづくり創生プロジェクト(産業クラスター計画)の活動の成果の一つです。

<ナノ空間における葉緑素の安定化技術>
葉緑素は数ナノメートルの大きさを持ち、光合成において重要な役割をする機能性分子ですが、葉の外部に抽出すると、太陽光による光酸化等によって直ちにその機能を失ってしまう性質があり、工業的に利用する事が出来ませんでした。天然に多く存在し、安定な無機質である二酸化ケイ素を主成分としたナノポーラスシリカ;FSMのナノ孔中では、この葉緑素が非常に安定化することを見出しました。その結果、緑色顔料などへの展開が可能となりました。(資料1・資料2を参照)  このようなナノ空間における機能性分子の安定化や高機能化の検討については、名古屋ナノテクものづくりクラスターにおける共同研究等においても実施されています。

<FSM(Folded Sheet Mesoporous material)とは>
FSMとは、界面活性剤ミセル(注釈1)などを鋳型とし、二酸化ケイ素の単位シートを折り曲げることにより得られるナノ細孔を有する六方構造のシリカ多孔体であり、優れた吸着性や保持力などの特性を呈します。(資料3・資料4・資料5を参照)  折れ曲がりの構造の大きさや孔のサイズは、ミセル及びエマルジョンの形態によって制御することができ、1~10ナノメートルの範囲でフレキシブルにコントロールできます。それによって、膨大な比表面積を得ることができ、さらにそのナノ孔の中に様々な物質を取り込むことが可能です。また、油脂成分を安定保持するといった新たな特徴も生まれます。 1g当り1,000~1,500平方メートル超の膨大な比表面積に由来する非常に高い吸着能力を発揮します。この様なナノ空間を持つ材料およびその触媒・吸着機能を活用した研究はNEDO(注釈2)の戦略テーマ等にも挙げられ、今後のエネルギーや環境問題解決につながる重要な素材のひとつになると期待されています。

<FSMの量産化技術について>
FSMの量産化技術確立は、太陽化学が保有する界面制御技術によるナノ鋳型の安定化および大量生産のための生産工学技術により成功しました。鋳型となるミセルが共存する環境下で水中酸化反応を行い、有機溶剤等は一切使用しません。使用する界面活性剤の分子鎖長や極性を制御することで、ナノ孔径と粒子の大きさを可変制御することが可能となります。原料となる二酸化ケイ素は資源として豊富で、食品添加物にも認可される程に安全性が高い素材です。近年注目のナノ素材であるカーボンナノチューブと比較しましても、幅広い応用分野があるなど、FSMはさまざまなメリットがあるナノ素材であるといえます。(資料6を参照) 太陽化学では、FSMの生産テストプラントを太陽化学㈱塩浜工場内(四日市市宝町)に導入いたしました。

<今後の取り組み>
機能性有機分子の安定化を基本とするハイブリッド材料は、人工酵素の開発にもつながる重要な素材のひとつになると期待されています。 太陽化学としては、今後さらに新たなFSMの活用研究を拡大していくにあたり、異業種企業との新たな接点を求めて今回の発表に至りました。

注釈1 界面活性剤ミセル:ナノメートル単位のコロイド状粒子

注釈2 NEDO:独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構
http://www.nedo.go.jp/