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健康を作る素材のチカラ

Vol.22 腸管免疫のはたらきを支える「酪酸」とグアーガム分解物(PHGG) 腸内フローラのバランスを整えたいあなたに

1.健康を支配する!?腸内フローラ

昨年の冬、某テレビ番組で、腸内フローラが私たちの健康だけでなく肥満や病気、性格にまで影響していることが放送され、大きな話題を呼びました。私たちの腸内にはたくさんの細菌が棲みついており、その種類は約1000種類、数は100兆以上にも及ぶといわれています。それらはヒトにとって有用な菌もいれば、悪い影響を及ぼす菌もあり、また何の影響もない菌もいます。そのバランスが、私たちの健康などに影響しているといいます。

腸内細菌は、私たちが食べたものをエサにして生態系を作っています。その生態系のことを腸内フローラと呼んでいます。細菌にも好き嫌いがあるので、私たちが食べた物によって腸内フローラのバランスが変わります。私たちに有用なはたらきをしてくれる腸内細菌が好む成分を多く食べることが、よりよい腸内フローラのバランスにつながります。

腸内細菌は、私たちが食べた物からさまざまな成分を作り出します。その成分が私たちの身体にとって有用だと、腸内フローラは良い状態といえます。逆に悪い成分、例えば動物性の脂質やたんぱく質から毒性のあるアンモニアやアミン、硫化水素などを出す菌は有害菌とされ、それらが多い状態は腸内フローラが悪い状態ということになります。欧米型の肉中心の食事が続くとおならや便が臭くなるのは、腸内フローラが有害菌優勢な状態となっている証拠です。

2.腸管免疫には「酪酸」が重要

では、腸内細菌が作り出す私たちに有用な成分には何があるのでしょうか。そのひとつが「短鎖脂肪酸」です。酸性の物質で、代表的なものに「酢酸」「酪酸」「プロピオン酸」があります。中でも「酪酸」は、腸管にとって重要な働きをしています。

私たちは、身体を外敵から守る免疫機能を持っています。その働きをする免疫細胞は、約7割が腸管の上皮粘膜に集まっています。口からは、栄養となる食べ物だけでなく、菌やウイルスなど、身体の害になるものも同時にたくさん入ってきます。腸は、その中から身体に有用なものだけを吸収し、害になるものは排除しなければなりません。腸管上皮細胞が弱っていると、その働きも弱まってしまい、必要な栄養をきちんと吸収できなかったり、逆に有害な物質を身体に取り込んでしまったりします。そのためには、腸管の上皮細胞を健康にする必要があります。そこで重要なのが「酪酸」。酪酸は大腸の上皮細胞のエネルギー源となり、腸管上皮細胞を健康に保ちます。つまり、酪酸は全身の免疫の要である腸管免疫のはたらきを支えるといっても過言ではないのです。

3.酪酸産生菌の大好物・・・それが「グアーガム分解物」!

腸内細菌は、私たちが消化できなかった食物繊維をエサにして短鎖脂肪酸を作ります。腸内細菌の中には、短鎖脂肪酸の中でも酪酸を作るのが得意な「酪酸産生菌」と呼ばれる菌がいて、これが増えるとより酪酸が作られやすくなります。そのためには、酪酸産生菌が好むエサ(成分)をたくさん与えてあげることが重要です。

では、その成分には一体何があるのでしょうか?そのひとつが「グアーガム分解物」です。グアーガム分解物とは、グァー豆という乾燥した地域で取れる豆から作られる水溶性食物繊維の一種です。食物繊維と一口に言ってもさまざまな種類があり、特に酪酸を作りやすい食物繊維が「グアーガム分解物」なのです。

ヒトの糞便を用いて、さまざまな食物繊維から産生される短鎖脂肪酸の量を測定した研究があります。糞便をバッファー液で希釈したものに、食物繊維の試験サンプルを溶解したものを37℃で24時間置き、糞便中の腸内細菌が酪酸を作る量を測定しました。その結果、グアーガム分解物がもっとも酪酸を産生することがわかりました1)

さらに、別の試験では、成人女性10名にグアーガム分解物を1日6g、2週間摂取してもらい、その前後の腸内細菌を調べたところ、グアーガム分解物の摂取前と比べて摂取後は酪酸産生菌が有意に増えていることがわかりました2)。このことから、グアーガム分解物は酪酸産生菌を増やし、酪酸をより多く発生しやすくすることがわかりました。


食物繊維は「第6の栄養素」といわれて久しいですが、単に食物繊維を摂ればよいというのではなく、どのような機能を持っているかで食物繊維を選ぶ時代が来ているのかもしれません。


1) Anne M Pylkas, et al. J. Med. Food. 8(1), 113-116 (2005)
2) Y Ohashi, et al. Beneficial Microbes. 6(4), 451-455 (2015)

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