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健康を作る素材のチカラ

Vol.21 炎症性腸疾患(IBD)とグアーガム分解物(PHGG)急増中の炎症性腸疾患(IBD)に朗報!?腸の炎症を抑える食物繊維

1.炎症性腸疾患(IBD)

炎症性腸疾患(IBD)は、大腸をはじめとする消化管に潰瘍や慢性的な炎症を引き起こし、長期の下痢、血便、腹痛などの症状を伴う腸の病気で、一般的には潰瘍性大腸炎とクローン病のことをさします。元々欧米で多いのですが、近年国内でも増えており、平成25年度の調査では患者数が20万人を超えています*。原因がわかっていないため、難病指定されています。ひどい場合には、強い腹痛や高熱、全身の激しい消耗があり入院が必要となったり、腸閉塞や腸穿孔、大腸がんの併発など外科的手術が必要な場合もあります。また、下痢や腹痛により食事量が減ってしまう、腸が水分や栄養を吸収する機能が正常に働かなくなるなどにより、脱水、栄養不足に陥ることもあり、患者さんの日常生活の質(QOL)を損なう辛い病気です。

* 平成25年度末の医療受給者証および登録者証交付件数の合計( (財)難病医学研究財団/難病情報センターホームページより)

2.グアーガム分解物(PHGG)の抗炎症作用

グアーガム分解物(以下、PHGG)は、水溶性食物繊維の一種です。便通に良いだけでなく、下痢の改善作用、血糖値上昇抑制など、さまざまな健康機能が研究されています。その中の一つに、腸の炎症を抑制する作用があることが報告されています。
マウスを2群に分け、1つの群には通常の餌(コントロール)、もう1つの群にはPHGGを5%配合した餌を2週間食べさせた後、作為的に大腸炎を誘発させ、その後の大腸炎の活動指標(DAI)を評価しました。DAIは、体重減少、軟便度、直腸潜血の度合いを総合的に点数化したものです。その結果、PHGG入りの餌を食べたマウスは、通常の餌を食べたマウスにくらべ、5日目以降で有意にDAIが下がり、大腸の活動性が抑えられたことが示されました。


また、腸の炎症を評価する指標として、TNF-α産生量、MPO活性を測定しました。


TNF-α:免疫反応のひとつとして、体内に外敵が侵入してきた際に分泌される炎症性サイトカインのひとつ。
過剰に分泌されると炎症性の疾患の原因になる。

MPO:Myeloperoxidase (MPO)は好中球に多く含まれ、バクテリア感染における生体防御に深く関わる。
炎症の発症メカニズムに関わっていることが報告されている。


いずれも、大腸炎を誘発させると、通常の餌を食べた場合は数値が上がるのに対し、PHGG入り餌を食べた場合は数値が有意に下がっており、炎症を抑制していることが示されました。

さらに、試験マウスの結腸の陰窩部分の細胞状態を確認したところ、通常のマウスでは粘膜組織がはっきり見えるのに対し、大腸炎を誘発したマウスでは陰窩が消失し粘膜組織の破壊が見られ、炎症細胞の浸潤が見られます。一方、PHGG入り餌を食べたマウスでは、大腸炎を誘発させても陰窩組織の消失と萎縮が抑えられ、炎症細胞の浸潤も抑えられおり、通常マウスに近い状態となりました。


今回の動物実験で、PHGG入りの餌は、TNF-αや好中球の発現による腸の炎症を抑制することが示されました。これらのデータから、PHGGを経口摂取は、炎症性腸疾患の治療の一助となる可能性があることが示唆されました。

出典:Y. Naito et al. Journal of Nutrition Biochemistry, 17, 402-409 (2006)

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