「これはおもしろい商品になる」と直感した名坂は、それ以来、部下の坂本を巻き込んでメカニズムの解明とバックデータ取りに熱中する。何しろ偶然から生まれた産物であり、その後が大変であった。そもそも油についてどのようなデータを取ればよいかわからないところから始まり、油の種類や温度などでの変化を試し、ようやく技術としてのメドがたってきた。そして、この技術が実際にどのような使い方ができるのかを検討していく中で、“マーガリンなどの油脂の固さを出すために、現在使われているトランス脂肪酸含量の高い硬化油の代わりに使える”ことがわかってきた。
そして名坂はこの段階で、社長の山崎に対し機会をとらえてプレゼンにおよんだ。山崎は話しを聞くなり、「おもしろい技術だから、とことんやってみろ」とその技術の持つ可能性に大いに関心を示し、すぐさま名坂、坂本を中心に4名の研究員を配し、特許の出願及び商品としての完成度を高めていく体制を整えた。これがTAISETの第二の転機となり、商品開発は加速化する。名坂はデータの整備を坂本達に任せ、自分はかつての営業経験も生かして精力的に顧客に出向き、TAISETを試して頂きながら商品としての可能性を広げていった。その中から「油に対し、1〜2%のわずかな添加量でその固さを“コントロールできる”」ことで、写真のように、食品の保型性向上や油移行の抑制などの優れた効果が得られることが分かってきた。すなわち、
(1)液状の油では固体の脂を使用したような物性や食感が出せる
(2)固体の油ではにじみ防止などのより良い物性が出せる
ということである。
ちなみに、このようにまだ可能性が十分見えていない新技術の開発にこれだけの体制で取り組むのは、当社の陣容からすればかなり思い切った投資と言える。しかし、技術に対し好奇心を強く持ち、おもしろいものであれば即行動に移していくことは、当社の開発力を支える重要な原動力である。食品にも使える「油の固さを極少量でコントロールできる乳化剤」TAISETも、こうした当社の持つ“好奇心”から生まれた商品のひとつと言えるだろう。 |
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■電子顕微鏡で見たTAISET |
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TAISETはグリセリン脂肪酸エステルを主成分とした乳化剤製剤。非常に均一な構造を持ち、そこに油を閉じ込めることで、ごくわずかな添加量でも油を固められるものと推察される。
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| ■ホイップドクリームの保存テスト |
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無添加 0.45%添加
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■チョコレート(コーティング用)の
保型テスト |
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無添加 0.4%添加
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■ドーナッツの油移行
(台紙:キッチンペーパー) |
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無添加 0.2%添加
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