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食品の酸化防止講座 食品の酸化防止講座 食品の酸化防止講座

第4回「抗酸化素材の活性を引き出す製剤化技術」

第3回では、酸化を生じさせる原因とその対策、さらに対策のひとつである抗酸化素材について紹介しました。食品の種類や酸化要因によっても酸化劣化は全く異なるものとなるため、抗酸化にはまず食品の酸化反応を十分に理解し、目的に応じて適切な抗酸化素材を選択することも重要です。
今回は抗酸化素材の活性をより効果的に引き出す『製剤化技術』と、飲食品の酸化劣化防止に最適な『酸化防止剤製剤』についてご紹介致します。

水溶性酸化防止剤と脂溶性酸化防止剤

食品中において抗酸化機能が確認されている素材には様々なものが存在していますが、これらは水溶性抗酸化素材と脂溶性抗酸化素材に大別されます。私たちが口にする飲食品の多くは水性成分(炭水化物など)と油性成分(脂質など)が混ざり合った状態となっていますが、水性成分が主となる食品にはビタミンCなどの水溶性抗酸化素材が、油性成分が主となる食品にはビタミンEなどの脂溶性抗酸化素材が使用されているのが一般的です。しかしながら、これらをそのまま飲食品に加えるだけで必ずしも十分な効果が得られるとは限りません。

水溶性酸化防止剤と脂溶性酸化防止剤

例えば果汁飲料や乳飲料の酸化劣化を考えた場合、特に酸化の影響を受けやすい物質は果汁のフレーバー成分や乳脂肪分です。これらの多くは油性成分であるため、水溶性抗酸化素材では酸化が発生している成分に対して浸透性に劣り、十分に効果を発揮することができません。一方で脂溶性抗酸化素材では飲料と混ざり合いにくく、添加量によっては表面に浮いてきてしまうこともあります。当然ながら、このような状態では抗酸化機能を上手く活用できているとは言えません。

水溶性酸化防止剤と脂溶性酸化防止剤

また、一部の水溶性抗酸化素材と脂溶性抗酸化素材には、同時に存在することでより高い効果(相乗効果)を得られる組み合わせも存在します。この場合も、相乗効果を高めるためには水溶性素材と油溶性素材が上手く混ざり合い、同時に存在できる環境を整えることが必要です。

自動酸化反応

さらに食品の経時的な酸化劣化においては、多くの場合に『自動酸化反応』と呼ばれる反応が関わってきます。自動酸化反応とは酸化産物自体が酸化反応の触媒となり、連鎖的かつ加速度的に酸化劣化を進行させる反応です。この場合、ある程度の酸化が進行してしまった場合にはそれ以降の酸化を抑制することは非常に困難となります。このため、酸化防止剤には「酸化の開始段階を十分に抑える反応性」と「その状態を長期間維持する持続性」が求められることとなります。
如何に優れた機能を有する抗酸化素材であっても、この酸化開始段階に対して作用することができなければ効果は大きく低減してしまいます。一方で、酸化反応が発生する場所で抗酸化素材が直ちに効果を発揮できるような環境を整えることができれば、より少ない量であっても効率的に酸化防止効果を得られることとなります。

自動酸化反応

酸化防止剤製剤化技術

このように食品の酸化を効果的に抑えるためには、まず目的に応じて適切な抗酸化素材を選択すること、そしてその活性を十分に発揮できる環境を整えることが重要です。この環境を整える方法のひとつが、『製剤化技術』です。
『製剤化技術』においてキーとなる物質は乳化剤です。組み合わせる抗酸化素材の種類と量に対して適切な乳化剤を配合することで、水溶性抗酸化素材と脂溶性抗酸化素材を一剤化し、食品中への分散性・食品成分への浸透性を向上させるとともに、より高い相乗効果を得ることが可能となります。
また、『乳化』としてよく知られている通り、乳化剤を活用することで油性成分も乳化粒子の形をとって水中に安定的に分散することができます。より優れた『製剤化技術』では、この乳化粒子を非常に微細なサイズにコントロールすることも可能です。乳化粒子を微細化することで粒子の数・粒子の表面積が増大し、抗酸化素材がより効果を発揮しやすく、自動酸化反応防止に効果的な環境を作ることができます。

酸化防止剤製剤化技術

飲食品酸化劣化防止に最適な酸化防止剤製剤

飲食品酸化劣化防止に最適な酸化防止剤製剤

このような製剤化技術により、抗酸化素材をそのまま使用するだけでは到底得ることのできない酸化防止効果を得ることが可能となります。太陽化学では食品の酸化メカニズムに応じて最適な抗酸化素材を組み合わせ、製剤化することで抗酸化活性を最大限に引き出す設計を行っています。

酸化防止技術講座の最終回となる次回は、太陽化学の酸化防止剤製剤である『スーパーエマルジョンTSシリーズ』について、実際の飲食品の酸化劣化に対する効果例をご紹介致します。

(2018年3月)

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