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第2回「たまごの乳化力」

たまごの3大キノウのひとつ、「乳化」キノウについてご紹介します。

たまごが欠かせない!おいしい“乳化”食品

アイスクリームやマヨネーズ、どちらも『乳化』を利用して物性が決まるおいしい食品です。マヨネーズは卵+酢の水系に油が分散したO/W乳化系、アイスクリームはただの乳化ではなく「解乳化」を利用して空気を抱き込んだO/W乳化系ですが、その「乳化」で重要な役割を果たすのがたまごです。卵黄は天然の優れた乳化剤としてよく知られています。

たまごが欠かせない!おいしい“乳化”食品

「乳化」キノウの源とは??

卵黄の優れた乳化力は卵黄中の「脂質-蛋白複合体」である卵黄リポ蛋白に起因します。リポ蛋白は、脂質成分を含みながらも水への分散性が非常に良い状態となっているため、卵黄中の界面活性剤成分であるレシチンが非常に活性の高い状態となっており、レシチン単独の乳化特性とは異なる挙動を示します。この蛋白・脂質・そしてレシチンが組み合わさって存在することで、たまごの乳化力が発揮されます。

「乳化」キノウの源とは??

たまごの乳化の特徴は、特に酸や塩に非常に安定であるところです。ところが、加熱時には含まれる蛋白の凝集が起こることから乳化状態が崩れやすくなります。例えば、マヨネーズはたまご・酢・油・調味料から構成される乳化物ですが、酢による酸性条件と調味料による高塩条件下という過酷な条件にも関わらず安定な品質を保っています。ところが、パンに載せてトースターで加熱すると油が分離することからも分かるように、熱には弱い乳化物です。

たまごの乳化特性の弱点、熱への弱さを改善する

太陽化学では卵の乳化機能を研究する中で、卵の乳化力をより安定化する加工を行った鶏卵加工品「ヨークレートLシリーズ」を開発し、たまごの「乳化」キノウを活かした加工品づくりをご提案しています。
卵黄を酵素処理し乳化に関わる卵黄構成要素を構造変化させることで、乳化力の源である卵黄リポ蛋白の親水性が高まり、かつ加熱時などに起こる蛋白の凝集が抑制されることで、たまごのもつ乳化特性を改質することができます。

乳化のモデル形で検証すると、その「乳化」キノウが高くなっていることがわかります。
以下の図に示すように、従来の卵黄や卵黄に含まれる界面活性剤成分であるレシチンより乳化安定性に優れており、酸性下、食塩存在下、いずれの条件においても乳化安定性が向上しています。加工により、加熱への耐性も付与され、より安定な乳化特性を持つようになります。

  • ヨークレートパウダーLP:ヨークレートLシリーズの粉末品

図:ヨークレートパウダーLPの乳化安定性(モデル試験)
水と油を1対1で卵黄などを加えた乳化物(ホモミキサー処理済)について、85℃で15分間加熱処理した後の様子。

図:ヨークレートパウダーLPの乳化安定性(モデル試験)

たまごの「乳化」キノウを応用する

酵素処理による構造変化により、単に乳化に加熱耐性を付与するだけではなく、たまごは澱粉に対しても乳化剤と同様の改質効果を有するようになります。菓子類には素材としてたまごが利用され、「口どけの向上」や「老化防止」などの食感改質目的で乳化剤が利用されることが多いですが、このように乳化性を改質したたまご素材にも乳化剤と同様の改質効果を期待することができます。

たとえば、マドレーヌを作るのに利用されるたまごを一部代替してヨークレートLMを少量添加した場合、その容積が増加して口どけが良好になります。さらに、生地内の油脂が安定的に分散することで、油にじみもしづらくなります。大規模加工で乳化剤に期待されるような澱粉の老化防止効果により、「作りたてのしっとり感」をキープすることでおいしさを長持ちさせます。

  • ヨークレートLM20:ヨークレートLシリーズのペースト品。20%加糖。
たまごの「乳化」キノウを応用する

このように、食感改質だけではなく、「油の分離防止」「耐熱性向上」などの物性改質、「生地の伸展性改善」「膨化の向上」などの工程改善など、乳化剤の機能が期待される食品加工の場でたまごのチカラを活かすことができます。

★タマゴのマメチシキ!「たまごの卵黄の色のひみつ」

卵黄の色、みんな同じような黄色だと思っていませんか?実はこの黄色が当たり前ではありません。この卵黄の色、実はエサでコントロール可能です。
たまごに含まれる油はそのほとんどが卵黄に含まれますが、油溶性の色素は油に溶けて卵黄に届き、卵黄の色のもととなります。たとえば、青色の絵の具を鶏に食べさせると青い卵黄のタマゴが産み落とされるのです。コーンで育てたニワトリの卵は黄色、お米で育てたたまごは白色になります。

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