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技術・生産・加工について

沈殿防止、風味改善・・・機能性食品の課題を解決する技術とは?

拡大する機能性食品市場

機能性表示食品制度の開始でさらなる拡大が見込まれる機能性食品市場では、さまざまな商品が日々開発されています。機能性食品の形態としては、錠剤やカプセルなどのサプリメント形状だけでなく、通常の食品や飲料の形態も多くあります。食品や飲料であれば、普段の食生活に取り入れやすく、風味などを変えることで消費者に飽きられない工夫なども可能です。また、機能性の付加価値がついた食品として、一般食品と差別化することも可能になります。


機能性食品に配合される栄養素材や機能性素材は、合成で作られたり植物などから抽出・濃縮されることが多く、脂溶性や結晶性の高いものであったり、においがきつかったり苦味が強いなど風味に問題がある素材が少なくありません。これらを食品や飲料に添加すると、沈殿したり均一に混ざらなかったりするなど品質が一定にならない、食品や飲料自体の風味が問題となり消費者に受け入れられにくい商品となってしまう、といった課題が生じてしまいます。

高度成長期に発達した加工食品と、太陽化学が着目した市場ニーズ

そういった課題は、実は食品形態・飲料形態の健康食品の市場が広がり始めた20年以上前から潜在的に増えつつありました。1991年に始まった特定保健用食品では、当初対象は通常の食品形態に限られていましたし、また、それに先立ち1980年代には大手食品メーカー各社からビタミンやミネラルなどの栄養を強化した加工食品、飲料が発売されはじめていました。

太陽化学は、日本で初めて食品用乳化剤を開発したことを皮切りに、日本の高度成長期に発達した加工食品の基礎を支える物性制御の技術開発に力を入れてきました。さらにその内容は、時代の変化とともに、風味や食感など嗜好性に関する加工の課題だけでなく、栄養を強化する加工に対しても需要が高まっていました。その中でも当時太陽化学が着目したのは、鉄不足解消のための鉄強化食品のニーズでした。

食品に鉄分を強化する場合、食品添加物で認められている鉄素材を食品に配合することになります。しかし、食品添加物として認められている鉄分のうち、水溶性の鉄分である硫酸鉄、クエン酸鉄などは、イオン化するため “血”のような鉄味が出やすく、また着色したり他の成分と反応したりしてしまうことが問題となっていました。一方、不溶性鉄であるピロリン酸鉄は、結晶物質であるため鉄味はしませんが、粒子が大きく沈殿するなど食品中に均一に配合することが難しいという課題がありました。

ニュートリション・デリバリー・システムの原点、「サンアクティブFe」の開発に成功

そこで、「鉄味がせず、色にも影響せず、食品に安定に均一に分散する鉄素材」を開発すれば、市場のニーズにもマッチすると考えられました。そこで基盤となったのが、これまでに培ってきた物性制御技術です。もともと鉄味がせず反応性の低いピロリン酸鉄を基材とし、太陽化学の乳化・分散の技術を応用すれば、この課題をクリアできるのではないかと考え、開発を進めました。そしてついに、これまでになかったピロリン酸鉄製剤「サンアクティブFe」を開発することに成功したのです。

この開発は、単なる分散安定の技術では終わりませんでした。栄養素をさまざまな加工食品に添加することができれば、その食品形態の数だけさまざまな形で栄養素を私たちの体に運ぶことができます。それを、栄養素を運ぶシステムとして確立すれば、普遍的な技術になると考えました。そこで提唱したのが、ドラッグデリバリーシステム(Drug Delivery System:DDS)ならぬ、“ニュートリション・デリバリー・システム(Nutrition Delivery System:NDS)”です。時代は機能性食品の発展期。ビタミンEやDHA、コエンザイムQ10など、飲食品への応用が難しかった栄養素の製剤化に取り組み、ラインナップを広げて参りました。

ニュートリション・デリバリー・システムの確立へ

さらに“ニュートリション・デリバリー・システム”を確立するため、食品として体内に運ぶだけでなく、栄養素として有効に使われていることを確認するため、サンアクティブFeの吸収性を調べることにしました。鉄の吸収性試験は貧血モデルの動物などを使うことが多いのですが、サンアクティブFeは、貧血でない人も口にする一般的な加工食品や飲料に使われることを想定し、貧血でない人を被験者として臨床試験が行われました。比較は、食品添加物でありながら医薬品としても使われる硫酸鉄としました。試験食として、ヨーグルト、およびシリアルに、サンアクティブFeまたは硫酸鉄を添加して被験者に摂取させました。さらに試験のポイントとしたのは、被験者の血清鉄ではなくヘモグロビン値を測定したという点です。ヘモグロビンとは、鉄とたんぱく質でできており、赤血球の中で酸素を運ぶ働きがあります。摂取した鉄がヘモグロビンになっていることが確認できれば、単に血中に吸収されただけでなく、ヘモグロビンとして生体に利用されたことが確認できたといえるのです。

その結果、サンアクティブFeは、硫酸鉄と同等の吸収性であることがわかりました。サンアクティブFeは、ピロリン酸鉄をNDS加工したものです。通常のピロリン酸鉄は硫酸鉄の3分の1程度の吸収性しかないことがわかっていましたので、NDS加工されたピロリン酸鉄であるサンアクティブFeは、その約3倍も生体内で利用できていたことになります。

一方で、吸収性が硫酸鉄と同等であり、それより高い利用率でなかったことは、サンアクティブFeの安全性を示す結果にもなりました。鉄は、過剰摂取で健康被害が知られる栄養素でもあります。医薬品成分以上に生体に取り込まれたとしたら、それは逆に安全性に疑問が生じます。その点、サンアクティブFeは、生体の吸収・利用・代謝の経路を操作するような医薬的な作用があるわけでなく、あくまで食品として安全に利用いただける鉄製剤となっていることが確認できたのです。

「サンアクティブFe」は、開発から20年以上たった今も、さまざまな食品、飲料にご使用いただいております。これは、ニュートリション・デリバリー・システム:NDSの基本技術である“安定性の向上”“呈味性の改善”“吸収性の向上”“安全性の付与”が、時代を超えても求められている普遍的な技術であったからだと考えております。

ニュートリション・デリバリー・システム(NDS)について


現在では、アスタキサンチン、ルテインなど、時代のニーズにあったラインナップも増やしております。太陽化学はこれからも、栄養素材・機能性素材の「不可能」を、素材の特性に応じて「可能」にすることで、より品質の高い機能性食品開発を支える技術開発に取り組んで参ります。

ニュートリション・デリバリー・システム(NDS)製品情報


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