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夏本番!チルド食品の日焼け防止策

チルドコーナー人気上昇中

コンビニに足を運ぶと、数年前に比べチルド商品の品揃えが豊富になったと感じます。
1990年代はじめ、いれたてのコーヒーをカップに入れて飲み歩くいわゆる「シアトル系コーヒー」の流行を受け、チルドカップコーヒーが誕生。今ではコーヒーに限らず、果汁系飲料、ドリンクヨーグルトなどチルドカップ飲料のバリエーションは増え、定番化しています。
また、2006年以降、PB(プライべートブランド)のコンビニスイーツの開発が活発化し、各社のPB商品が出揃った2009年は「コンビニスイーツ元年」と話題になり、今ではコンビニでスイーツを買うスタイルが定着化しました。ロールケーキやプリンを中心に、和菓子もラインナップに加わり、完成度の高さは専門店にも迫る勢いとなっています。
チルド商品の人気はドリンクやスイーツだけではなく、パウチ惣菜も増えています。サラダ系だけでなく、ハンバーグなどの主菜や煮物など種類も豊富に展開しています。要冷蔵ではありますがコンビニ弁当より日持ちすることや、少量個包装であることが現代のライフスタイルにマッチし需要が伸びていると考えられます。
このように、チルド食品の市場はここ数年で大きく成長しています。

できたての美味しさをいかにキープできるかがカギ

チルド食品の売りは“鮮度”です。チルド食品の市場拡大の背景には、できたての美味しさを味わいたいというニーズだけでなく、全国に広がるコンビニチェーンの発達、冷蔵輸送手段・流通網の発達、殺菌処理方法やパッケージの改善といった要因があります。これらの背景から高品質化が進んでいますが、賞味期限が短いため廃棄ロスリスクが高い、本来の風味が高いため劣化した際の風味差が激しいなど、チルド食品特有の課題もあります。
近年、インスタント食品を筆頭に加工食品の賞味期限を延長する動きが広がり、世界的に問題視されている「食品ロス」を減らす効果が期待されています。賞味期限が短く廃棄ロスリスクが高いチルド食品において、風味劣化の抑制は食品ロス削減への解決策としても重要です。

天敵“光”に負けない商品の開発をめざして

天敵“光”に負けない商品の開発をめざして

最近のデザートは、手作り感、本物感を出すために生クリームや生乳をふんだんに使用した商品が増え、パッケージも透明なものが多くなっています。それは、消費者が商品の中身を確認することで商品価値の確認や安心感を与え、商品購買時の判断をしやすくしていると言えます。
一方、販売店では商品を見やすくするため、清潔感を出すために販売棚を非常に明るくしています。
その結果、乳製品を使用した商品では、乳脂肪の酸化による風味劣化を引き起こし商品価値を低下させてしまうケースがあります。
チルド食品が定着化する中、光による風味劣化への対策は重要な課題です。

某飲料メーカーの研究員Iさんは、酸性乳飲料の開発に取り組んでいました。夏向け商品として爽やかさをプラスするため柑橘果汁を配合し、明るい商品イメージを作るため透明容器の使用を検討しています。
味にも見た目にもよりよい商品を開発するにあたり、果汁に含まれる色素の退色抑制、乳成分の酸化抑制、劣化臭のマスキングが課題となっており、Iさんは酸化防止剤の検討を進めました。

殺菌時の熱や保存中の光によって生じる風味劣化の抑制には、一般的に水溶性のビタミンCやカテキン、脂溶性のトコフェロールなどの酸化防止剤が使用されます。飲料には水溶性の酸化防止剤が使われることが多いですが、ビタミンCは熱に弱く褐変する性質があり、それ自身が風味に影響する場合があります。一方、トコフェロールなどの脂溶性酸化防止剤は飲料には使いにくいなどの問題があります。

Iさんは、ビタミンCを添加し光照射による酸化劣化防止を検証しましたが、ビタミンC自体の褐変や風味への影響が出ない範囲では、十分な効果が得られませんでした。トコフェロールを使用すると劣化臭が低減されましたが、飲料には分散性が低いため安定性の面で問題が残ってしまいました。
どうしたら効果的に酸化劣化を抑制することができるのか・・・行き詰ったIさんは、乳化剤関連で以前より交流のあった太陽化学に相談してみることにしました。

エマルション技術で効果を最大限に

飲食品のフレッシュ感、できたての美味しさをキープするには、スーパーエマルジョンTSシリーズがおすすめですと太陽化学の担当者は言いました。

スーパーエマルジョンTSシリーズは・・・

食品に添加することにより、ショーケース中の光やホットベンダー中の熱、保存中の経時変化などによる「風味劣化」を効果的に抑制する、酸化防止剤製剤です。

脂溶性物質を微粒子化し水系に透明分散を可能にする乳化技術「スーパーエマルジョン技術」を利用し、水溶性抗酸化素材と脂溶性抗酸化素材を一剤化しています。乳化製剤にすることで、水系への分散性、安定性も向上し、相乗的、総合的な劣化抑制効果が期待できます。

<効果検証事例1>カロテノイド色素の退色防止効果

冷蔵状態でβ-カロテン含有酸糖液に10000Lx*の光を照射した場合、無添加では退色が進み1週間程度でほぼ無色となるのに対し、TSXを添加すると、光未照射と同等のレベルをキープできます。 また、熱にも安定なためビタミンCのような褐変もありません。このように、カロテノイド色素の退色を効果的に抑制し、熱に対しても安定です

<効果検証事例1>カロテノイド色素の退色防止効果

*チルドケースの照明は通常2000Lx程度で、それよりも強い光を当てて試験しています。

<効果検証事例2>ヨーグルトの光劣化臭抑制効果

市販ドリンクヨーグルト(無脂肪ヨーグルト)に光を照射し、発生する劣化臭をGC/MS分析で測定した結果、TSMを添加することで異臭の原因となる、乳タンパク由来の化合物の生成が抑制されました。TSシリーズの抗酸化素材により、フレーバーの劣化を抑制し、風味を維持します。

<効果検証事例2>ヨーグルトの光劣化臭抑制効果

<効果検証事例3>トコフェロールと茶抽出物の併用効果

生クリームにトコフェロール、茶抽出物を単体で添加、または併用した場合の、光照射による過酸化物価の経時変化を検証したところ、トコフェロールと茶抽出物を併用することで過酸化物価の上昇が相乗的に抑制されました。脂溶性抗酸化素材と水溶性抗酸化素材の組合せによる相乗効果があることを確認できました。

<効果検証事例3>トコフェロールと茶抽出物の併用効果

さっそく、IさんはTSシリーズの中から開発中のチルド飲料に適した製剤を提案してもらい、検討を行ったところ、ビタミンC、カテキン、トコフェロールを単独使用した場合よりも効率良く風味劣化が抑制され、安定性も向上しました。抗酸化素材の配合比率のわずかな違いでも効果が変わってくるため、最適な配合を見つけるべく検討を続けています。
Iさんは、味も見た目もフレッシュ感をより長くキープすることで、消費者に喜んでいただき、また少しでも食品ロス削減へつながればと期待を寄せています。

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