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熱中症対策には水分補給方法がカギ!緩やかな水分吸収とグアーガム分解物(PHGG)

効率的な水分補給を

効率的な水分補給を

ここ数年、35℃を超える猛暑日の多い夏が続いており、6~9月に熱中症で病院にかかった人は2013年には40万人を超えています1)。熱中症対策には、汗で失う水分と塩分(電解質)の補給が基本で、これまでにもいわゆるスポーツドリンクとして売られていた清涼飲料なども、水分だけでなく塩分も補給できるため熱中症対策に適しているといわれています。また、脱水症状への対応として経口補水液の利用も一般に広まってきています。
熱中症対策としては、こまめに水分と塩分を補給しておくのが一番です。飲み物を持ち歩き、いつでも飲める状況であればそれでよいですが、いつもそのような状況とは限りません。かといって、不足していない分まで一気に飲んでしまうと、身体にとって必要以上の水分は、尿として排泄されてしまいます。

グアーガム酵素分解物が水分・電解質の吸収をコントロール!?

グアーガム酵素分解物(PHGG)とは、安定剤等で用いられるグァーガムという増粘多糖類を酵素である程度まで分解し、水に溶解しても高粘度にならないように加工した水溶性食物繊維の一種です。グァーガムのままでは、0.1%加えただけでも粘度をつけることができますが、PHGGは、例えばコップ1杯の水に大さじ1杯を溶かしても(濃度として数%)、見た目の粘度はほとんど変わりません。
しかし、ミクロレベルで見ると、PHGGでも添加量とともに粘度が高くなります。これは、PHGGは親水性が高く水分子を抱き込むため、自由に動ける水分子が少なくなるためです。この性質に着目し、水分・電解質を補給する際にPHGGを一緒に摂取すれば、摂取した水分や電解質がPHGGに保持され徐々に身体に吸収されることで、一度にたくさんの水分・電解質を摂取しても体内に保持させることができるのではないかと考えました。

水分吸収に与えるグアーガム酵素分解物の影響(ラットによる試験)

試験飲料4種を用い、ラットに経口ゾンデ注入したあと、8分後の胃と小腸の内容物を採取し水や陽イオンの吸収を計算しました。その結果、PHGGを添加すると無添加に比べ、飲料の注入量は同じであるにも関わらず、消化管に残った水分が多くなりました。つまり、注入後8分の時点での水分吸収量が抑えられており、水分の吸収速度が緩やかになっていることが示されました。さらに、Naイオンについても小腸での吸収量が抑えられており、吸収速度を緩やかにしていることが示されました。一方、水と糖類電解質含有飲料を比較した場合、糖類電解質含有飲料の方が水分の吸収速度が速くなりました。

【試験飲料4種】

  1. 水+PHGG1%添加(PHGG水溶液)
  2. 糖類電解質含有飲料
  3. 糖類電解質含有飲料+PHGG1%添加(PHGG飲料)

以上の結果については、日本農芸化学会2015年度大会(岡山大会)で発表いたしました。

この研究結果から、PHGGを添加した飲料での水分吸収は下図のようになると推察しています(イメージ図)。

水分吸収に与えるグアーガム酵素分解物の影響(ラットによる試験)

また、同じ試験で、PHGGを添加すると無添加に比べ、試験飲料の胃から小腸への移行が早かったという結果が得られました。このことは、飲んだ飲料がいつまでも胃に溜まってしまうのではなく、すばやく小腸へ移行することを示唆しています。飲んだ飲料がいつまでも胃に溜まっているとポチャポチャと不快感が残りますが、そういったことは起こらないのではないかと考えられます。

これらの結果については、ヒトでも同じことが言えるかについては今後の検証が必要ですが、PHGGを用いることで、状況に応じた水分補給飲料の設計が可能となるかもしれません。

(2018年5月)

学会発表概要

【大会名】日本農芸化学会 2015年度大会
【会期】2015年3月26日(木)~29日(日)
【発表演題】「グアーガム酵素分解物添加は飲料中の自由水を減少させ、腸管での水や陽イオン吸収を穏やかにする」
【発表者】福岡女子大学 高橋徹、徳永美希、太陽化学株式会社 安川然太 他

参考文献
1)『熱中症 診療ガイドライン2015』 日本救急医学会

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