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保型性とおいしさを両立したい!マイクロゲルで手作り食感を演出 ~微細ゲル加工品【ジェリコアMGB】~

ますます健康ブームが伸長する昨今。日頃の食事に手軽に栄養をプラスすることで、健康増進を目指している人も多いのではないでしょうか。超高齢社会の中、少ない量で豊富な栄養を得られる高栄養食品は需要の高まりが期待できます。しかし、こうした高栄養・高濃度食品はその性質ゆえに粘度やかたさ等が高いため飲食しにくく、量産化にハードルがあることも事実です。

求める性質と、それによりもたらされる物性との板ばさみになり、何かを犠牲にしなければ商品化することができない。これは高栄養食品のみに発生する悩みではありません。たとえば、カスタードクリームなどは身近な例と言えるでしょう。

口どけと包餡性を両立したカスタードクリームを提供したい!

とある食品会社の商品開発Mさんは、担当であるカスタードクリームの開発に熱意をもって取り組んでいます。もっとお客様のためになる、快適に使っていただける製品を!そんな気持ちをこめて真摯に開発してきた包餡性抜群のクリームパン向けカスタードクリームを、製パンメーカーに自信を持って提案しに行きました。

しかし、提案先での反応はいまいち。「フィリングとしては扱いやすいけど、食感がちょっとね。もっと手作りの食感に近づかないかな?さすがにこの口どけの悪さは、なんとかしてほしいなあ」

包餡性にばかり着目していたMさん、この言葉によって盲点であった“口どけ”の悪さに気づきます。急いで社に戻り、原因究明を開始しました。
改めて今回提案した配合を考えてみると、でんぷん等の増粘多糖類を配合することで包餡性を改良していった経緯が頭をよぎります。試しに増粘多糖類の添加量を減らしてみると、まさに推測通り、口どけの良いものが簡単に調製できました。しかし同時に、この処方では本来提供したかった包餡性の良さもなくなってしまうことも判明しました。パンに入れても焼成時にだれてしまい、口どけが良いだけで使いにくい、フィリングに適さないカスタードクリームになってしまったのです。
ここから“口どけ”と“包餡性”という、相反する課題を両立させる難題解決に向けて、Mさんの戦いが始まりました。

相反する課題。どちらも妥協はしたくない。

Mさんはこのバランスには増粘多糖類がキーになる、と考えました。まずは口どけが良くなると謳われている加工でんぷんや増粘多糖類を集め、それらの効果を検証するところから手をつけていきます。試作を重ね、さらにこの検証結果から口どけと包餡性どちらに対しても効果の良かったものを組み合わせることで、ようやく口どけを改善させた処方を作ることができました。しかし、その出来はあくまでも相対的に改善されただけであって、お客様のことを心から考えているMさんにとってはこの処方はまだまだ提案に値する出来ではありません。ここからどうやって改良を進めていったらいいものか…Mさんは頭を抱えこんでしまいました。

そんなある日、効果の良かった増粘多糖類のメーカーである太陽化学から、「実は、これまでとは全く異なるアプローチで、Mさんのお悩みを解決できる製品ができたんです!一度試して頂けませんか?」との連絡が入ります。改良の手がかりになれば、と試しに太陽化学の話を聞いてみることにしました。

太陽化学の新製品、その名も【ジェリコアMGB】

太陽化学の営業Kさんが持ってきたのは、【ジェリコアMGB】という新規開発製品でした。

Kさん「本来付与させたい保型性・分離抑制・テクスチャーを維持したままに、口どけやフレーバーリリースをさらに良くできないか…増粘多糖類を販売する中で、Mさんのようなお悩みをお寄せ頂くことが多く、私たちもお客様の期待に応えるべく研究開発を行ってきました。その研究開発の中で生まれた製品がこの微細ゲル加工品【ジェリコアMGB】です!ジェリコアMGBは添加するだけで増粘多糖類にまつわるそうした負の影響のみを改善することができますし、分散性も非常に良いので容易に添加が可能です。」

営業Kさんが自ら作ってきたというジェリコアMGBを添加したカスタードクリームを試食したところ、確かに後口のねちゃつきとフレーバーリリースの改善が感じられました。

Kさん「ジェリコアMGBは微細ゲルから構成されています。一つ一つのゲルがカスタードクリーム中の増粘多糖類同士のネットワークを適度に阻害し喫食時に崩壊の起点となることで、こうした改善効果が発揮されます。」

その効果は、まさしくMさんが求めていたものでした。Mさんがもともと提案したかった包餡性に影響する物性についても、ジェリコアを添加することによるかたさ・粘度の変化は感じられず、保型性を阻害しない期待がもてました。

「これなら、口どけも包餡性も、どちらも妥協することなく良い品質のものを提案できるかもしれない…!」

ジェリコアMGBという新たな武器を手に入れたMさん。お客様のパンメーカーにも、その先の最終消費者のみなさんにも満足していただきたい!熱い思いを胸に秘め、さらなる試作検討が始まります。Mさんの思いが実り、見事クリームパンに採用してもらうことはできるのでしょうか?

ジェリコアMGBとは?

ジェリコアMGBとは、太陽化学のゲル化剤技術を活用し、独自の加工をした微細ゲル加工品です。流動性をもつ粘凋液体で分散性が高く、酸にも熱にも安定な性質を持ち、様々な食品に配合が可能です。粒子径数十μmの微細ゲル一つ一つが効果に寄与します。ゲル物性・粒度をコントロールすることで食品に添加しても異物感を出すこともなく、しかもレトルトのような高温殺菌や冷凍解凍にも耐えられるように設計されています。

ジュリコアのイメージ図

まだまだ広がる、ジェリコアMGBの無限の可能性

手作りでは問題なく調製できていたものを量産化すると、前述のカスタードクリームのように色々と課題がでてきます。その一つとして、高濃度・高粘性液の製造適性・洗浄性があります。ジェリコアMGBには、上記に挙げた効果以外にも降伏応力を下げたり、ストロー吸引性を向上する効果もあるのです。もしかしたらジェリコアMGBを使うことで、より少ない力で液送が可能になるのかもしれません。

ここでは語りつくせないほどに、おもしろい効果と可能性を秘めたジェリコアMGB。増粘多糖類メーカーである太陽化学ならではの新たな製品に、これからもぜひ注目していただけると幸いです。

(2019年4月)

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