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化粧品・化成品を支える研究と技術 化粧品・化成品を支える研究と技術 化粧品・化成品を支える研究と技術

食品にも使用される素材を化粧品へ応用

近年は、生活環境やライフスタイルの変化により、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患や敏感肌、乾燥肌を自覚している方が非常に増えてきています。そのため、肌に直接使用する化粧品に対しても、安全で安心なものを基準として選ぶ消費者が増えてきています。

太陽化学は、1952年に日本で初めて食品用の乳化剤を開発し、食品分野で界面制御技術を進化させてきました。この界面制御技術は、食品のみならず、様々な分野に応用できる技術です。特に食品と同様に人の体に直接触れる化粧品の分野から、太陽化学が培ってきた界面制御技術を注目いただいています。

今回は、食品添加物にも適合する安全性の高い抗菌成分と洗浄成分をご紹介します。

天然系抗菌成分 サンソフトNo.700P-2-C

化粧品は、常温で長期間にわたり保管、使用され、消費者での使用状況も様 々であることから、製品設計上、防腐性の付与は重要な課題となります。一般 的にはパラベンに代表される防腐剤が配合されており、流通から消費までの期 間に腐敗が起こらないように処方設定がなされています。一方で、防腐剤は皮 膚への刺激性などが知られており、近年は敏感肌を自覚している消費者が増え ていることも背景に、防腐剤フリーの化粧品が増えています。

サンソフトNo.700P-2-Cは、食品分野で日持ち向上剤として長年の使用実 績があり、由来原料が天然のヤシ、パームで食品添加物にも適合する安全性に 優れた抗菌素材です。この素材を化粧品に応用することで、防腐剤を使わずに、 低刺激性・安全性に優れた化粧品処方の開発が可能です。

■抗菌効果

サンソフトNo.700P-2-Cの1%懸濁液で、枯草菌、大腸菌、クロコウジカビを用いた防腐効力試験結果が図1になります。大腸菌、黄色ブドウ球菌に対しては、菌接種7日目で生菌数は検出限界以下にまで減少しました。一方で、防腐剤の効き難いクロコウジカビに対しては、生菌数が102程度の減少に止まりました。そこで、クロコウジカビに対しても抗菌効果を発揮させるために、1,3-ブチレングリコールやジプロピレングリコールと併用したところ、クロコウジカビに対しても充分な抗菌効果を発揮することを確認しました。以上の結果から、サンソフトNo.700P-2-Cは、1,3-ブチレングリコールやジプロピレングリコールと組み合わせることにより、パラベンに替わる防腐系を構築できると考えられます。

■抗菌効果

可溶化製剤サンピュアラGCの開発

サンソフトNo.700P-2-Cは、安全性の高い抗菌素材として、各種クリームなどに用途の広がりを見せていますが、水への溶解性が高くないため、化粧水などに配合する場合は、可溶化する必要があります。
私たちは、飲料に応用されている可溶化技術を使って、水に添加するだけで、簡単に透明な可溶化液を調製できる可溶化製剤サンピュアラGCを開発しました。この製剤をモデル化粧水に配合して防腐効力試験を行ったところ、サンピュアラGCを3%配合することで、試験3菌種ともに経時的に検出限界以下にまで生菌数が減少することを確認しました。(図2、3参照)製剤化することで、幅広い処方系に容易に配合可能で、安全性の高い防腐系を提供することができるようになりました。

<可溶化製剤サンピュアラGCの開発>
<可溶化製剤サンピュアラGCの開発>

低刺激性洗浄成分 サンソフトM-12J

肌を清潔に保つ事はスキンケアの基本です。一方で、洗浄剤に含まれる洗浄成分は、皮膚刺激性を示すものもあり、間違った洗い方をすると、肌を傷めたり、冬場の乾燥肌を促進させてしまう原因にもなりかねません。一般的に、非イオン界面活性剤は、皮膚に対する刺激が少なく安全性が高い特徴がありますが、一方で起泡力や洗浄力が弱いため、石けんに代表される陰イオン界面活性剤が主に使用されています。
私たちは、特殊な合成方法により低刺激性でかつ洗浄力もすぐれたサンソフトM-12Jを開発しました。サンソフトM-12Jは、低刺激性の洗浄成分として使われることが多くなったアミノ酸系洗浄成分などと比較して、優れた洗浄効果を有しています。(図4参照)

<低刺激性洗浄成分 サンソフトM-12J>
  • M-12J:サンソフトM-12J
  • AMT:ヤシ油脂肪酸メチルタウリンNa
  • AGTEA:ラウロイル-L-グルタミン酸TEA
  • LBA:N-ラウロイル-β-アラニンNa
  • ベタイン:ジメチルアミノ酢酸ベタイン
  • 試験法:リーナツ試験法(変法)
  • 試験汚垢:人口皮脂
  • 活性剤濃度:0.03%
  • 試験温度:30℃

また、皮脂汚れなどお肌に不要な汚れはしっかり洗いながら、お肌に必要なアミノ酸は洗い流さないという洗浄特性があります。(図5参照)

<低刺激性洗浄成分 サンソフトM-12J>
  • SC:ココアンホジプロビオン酸2Na
  • LPB:ラウラミドプロビルベタイン
  • LB:ラウリルベタイン
  • APG:ラウリルグルコシド
  • LES:ラウレス硫酸Na
  • L-soap:カリ石ケン液
  • M-12J:サンソフトM-12J
  • 界面活性剤濃度:5%
  • 抽出時間:10min.
  • 分析方法:HPLC
    (AccQ Tag アミノ酸分析法)

皮膚(角層)中のアミノ酸は、天然保湿因子(NMF)の主要成分の1つであり、お肌を乾燥から守る働きを持っています。アミノ酸を残して汚れを洗い落とすことにより、洗浄後のお肌の乾燥を防ぐ働きがあります。アトピー性皮膚炎や敏感肌、乾燥肌の方には、お奨めしたい洗浄成分です。
また、最近ではスカルプ(頭皮)ケアが一般的な言葉として定着してきています。頭皮は、体の中でも皮脂分泌量が多い部位であり、シャンプーしても、毛根部分に皮脂汚れが残りやすい傾向にあります。健やかな頭皮頭髪を維持するために、頭皮を清潔に保つスカルプケアのキーマテリアルとして、低刺激性で皮脂洗浄力に優れたサンソフトM-12Jが使用されています。図6は、サンソフトM-12Jを配合したモデルシャンプーで頭皮を洗浄した時の、毛根部の洗浄効果を示した写真です。サンソフトM-12J配合シャンプーで洗浄すると、毛根部の皮脂汚れがきれいに洗い流されていることが分かります。

<低刺激性洗浄成分 サンソフトM-12J>

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