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お茶の成分でリラックス?~睡眠・抗ストレスとL-テアニン~

定番化した「癒し」

「癒し系」という言葉が国語辞典に載るほど定番となった『癒し』のニーズ。派手さや刺激が求められたバブル時代が終わり、経済が低迷しリストラや給与カットなどでストレスを抱える時代となったことを背景に「癒し」や「安らぎ」が求められるようになりました。90年代末ごろから、ふんわりやわらかな雰囲気を持つ女性アイドルが「癒し系」と呼ばれ人気となりましたが、今でもモテるのはやはり「ゆるかわ」な雰囲気の癒し系女子。ゆるさやがんばらないことが特長のキャラクターに人気があるのも癒しを求める今の時代ならではと感じるでしょう。旅行やエステなど、普段のがんばりに対するごほうびにも「癒し」や「リラックス」を求める傾向はまだまだ続きそうです。

「リラックス」は測れるんです

リラックスしているかどうかについて、他人がどう感じているかを調べる方法はあるのでしょうか?客観的に調べる方法のひとつに、脳波の測定があります。脳波とは、脳内から発生する電気信号を頭皮上の電極で記録したものをいいます。波長によってδ波(0.5~3Hz)、θ波(4~7Hz)、α波(8~13Hz)、β波(14~30Hz)に分類され、δ波は深い睡眠時、θ波はまどろみ時、α波は安静時、β波は覚醒・興奮時に主に出現するといわれています。リラックスした状態のときは、α波が優位になるといわれています。

図1 脳波の種類とそのときの状態

図1 脳波の種類とそのときの状態

ヒト試験でも実証!リラックス成分「L-テアニン」

昔から、「お茶を飲むとほっとする」と言われます。この「ほっとする」作用は、緑茶に含まれるアミノ酸の一種「L-テアニン」によるものであることがヒト試験で確認されています。この試験では、「ほっとする」を客観的に測定するため、L-テアニンを摂取したときの脳波を測定し、L-テアニンの摂取がヒトの精神面にどのように影響するか検証しました。

L-テアニンの影響を不安程度の異なる精神状態で調べるため、65問の質問に回答することで不安感やその身体的表れを評価するMAS(Manifest Anxiety Scale)テストを健常女性50名に実施し、不安度によって5段階に群別しました。その中から、不安傾向の最も高い群および最も低い群から合計8名を選出しました。実験は、各被験者に水のみまたはテアニン水(L-テアニン50mg、および200mg)を摂取してもらい、そのときの脳波をそれぞれ測定しました。摂取後10分ごとの脳波トポグラフィーの例を図2に示しました。水のみを摂取したときはα波の出現は見られませんでしたが、L-テアニン水を摂取したときは摂取40分後から後頭部、頭頂部にα波の出現が見られました。

図2

図2

また、測定した脳波のα波についての帯域パワー値を、水のみを摂取したときと比較したところ、不安傾向の強い群ではL-テアニン50mg、200mg摂取で最大2.0倍以上のα帯域パワーの増大がみられ、平均でも1.2倍以上の増大がみられました(図3)。これにより、L-テアニンがリラックスをもたらすことが示されました。

図3 水摂取時を1としたときの帯域パワーの比率

図3 水摂取時を1としたときの帯域パワーの比率

機能性関与成分は、アミノ酸の一種「L-テアニン」です。これまで、太陽化学ではL-テアニンの様々な健康機能について研究開発して参りました。その中でも、今回改めて行った研究レビューにより、睡眠においては「起床時の疲労感や眠気を軽減する」、ストレスにおいては「一過性の作業にともなうストレスをやわらげる」機能があることがわかりました。睡眠やストレスに悩みを抱える現代人におすすめのサプリメントです。

起床時の疲労感や眠気を軽減する

太陽化学では、このテアニンの「リラックス」をもたらす効果に着目、L-テアニンを摂取によって睡眠に関する問題にも改善が期待できないかと考えました。
睡眠に問題が生じる原因のひとつに、ストレスによって脳が緊張状態や興奮状態になってしまうことがあげられ、眠りに付く際の脳波はα波が優位になることが知られているからです。

そこで、「L-テアニンを摂取すると睡眠状態が改善されるか」について、研究レビューにより評価しました。データベースを調査し、評価に適した文献を基準に基づいて精査した結果、最終的に2報の文献を採用しました。睡眠状態の評価は、以下の項目について2報のデータを統合し解析しました。

主観的評価(被験者へのアンケート):疲労回復感、睡眠時間延長感、起床時の眠気、夢み、入眠と睡眠維持
客観的評価(データ測定):睡眠効率、中途覚醒時間、自律神経系(交感神経、副交感神経)、睡眠時間

研究レビューの結果、L-テアニンを摂取すると「疲労回復感」「起床時の眠気」が特に有意に改善することがわかりました。

一過性の作業にともなうストレスをやわらげる

私たちの健康は、20世紀は栄養・衛生状態が改善され医療技術が進歩したことで、「体」に関しては対策が進んできました。一方で、「心」の健康管理の重要性が盛んにいわれるようになってきたのは最近のことです。高度情報化社会となっている今日では、私たちのストレスは量・質ともにますます増えることが予想される中、ストレスをやわらげる方法が求められます。
L-テアニンには、一過性の作業にともなうストレスをやわらげる機能があることが報告されています。
健常人12名にL-テアニン200mgを摂取させた後、PC画面を使用した計算テストを実施してもらいました。すると、プラセボ(偽薬)を摂取した場合と比べ、L-テアニンを摂取した場合、計算テスト中および終了後20分までの主観的なストレス感の上昇率が抑えられ、心拍の上昇も抑えられました。L-テアニンを摂取したことで、一時的な作業によるストレスが緩和されたことを示しています。

一過性の作業にともなうストレスをやわらげる

健常人な日本人成人12名
L-テアニン200mgを摂取させた後、パソコン画面を使用した計算テストを実施
プラセボ対照ダブルブラインドクロスオーバー試験
Kimura K, et al, “L-Theanine reduces psychological and physiological stress responses.”, Biol Psychol. 74(1):39-45, 2007 より図2、図3を分かりやすく改変。* POMS(Profile of Mood States; 気分や感情の状態を評価するアンケート設問集)による被験者の主観的な評価

  • 届出に使用した研究論文のうち、代表的な1報から事例として提示しています。

キーワードは「プチ贅沢」×「癒し」

さまざまな加工食品があふれている現代、自分にとって本当に価値があるものを選択したいですよね。例えば、ちょっと高級なお菓子やおつまみ、飲み物などを自分へのごほうびに買ったりするのも日常の楽しみのひとつだったりします。L-テアニンは、もともと玉露やかぶせ茶など高級なお茶に特に多く含まれている贅沢素材。「ちょっとした贅沢」に「癒し」効果があれば、今の消費者が求めているニーズにもマッチするかもしれません。機能性表示に対応した素材「L-テアニン」はニーズにマッチしたコンセプトも提供可能な素材です。

(2018年6月)

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