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おいしさを支える研究と技術 おいしさを支える研究と技術 おいしさを支える研究と技術

その「おでん」、”だし”の美味しさを最大限に発揮できていますか?

様々な形で広がりを見せる和のメニュー

2013年に和食が無形文化遺産に登録されたことも後押しし、海外からの日本の食に対する注目が高まっています。日本の飲食店に入ると、海外からの観光客とおぼしき方が上手に箸を使って日本の料理を楽しむ姿も見慣れたものになりました。このように、世界から注目されて着実に「和」の料理や素材が浸透する中で、従来は煮物や味噌汁など家庭や料亭で食していたものが、もっと手軽に「加工食品」という形で味わえる機会も増えています。和惣菜のパウチ品やチルド惣菜、冷凍食品など形態は様々です。

おいしさの秘密は「香りのバランス」

肉じゃが、味噌汁、おでん・・・これらの様々な料理の味を決める重要な要素のひとつが「出汁(だし)」ですが、それと合わせて調理工程で付与される「調理感」も非常に重要です。例えば、煮込むことにより付与される「煮込みの香り」は、煮込み料理では欠かせない香りとなります。ところが、この「出汁のおいしさ」と「調理感」の両立による「香りのバランス」は、喫食のタイミングに合わせて提供される家庭や料亭では実現可能であるものの、いつでも食べられるよう準備されているコンビニのおでんなどは「出汁と具が一緒に数時間加熱された状態」であったり、外食産業で提供される味噌汁などもスピードを重視する場合には大量調理後に長時間保温する必要があるため、香りのバランスを維持して出汁のおいしさを最大限に発揮した状態で喫食とはならないのが現状です。
例えば、くたくたに煮込まれたおでんについて、具に味が染みておいしい一方で何だか蒸れたような変なにおいを感じた経験はございませんか?

おでんの香りはどう変化している?

出汁と合わせ、調理感も重要であることをご紹介いたしましたが、夏真っ盛りのこの時期以外はコンビニで必ず見かける「おでん」について、その香りの変化を官能評価で確認しました。
おでんの「つゆ」に具を入れて煮込み始め、その加熱時間に合わせてつゆの味を確認すると、加熱後6時間を越えた場合に酸味や獣臭といった不快臭を感じ、つゆのおいしさが低下することが分かりました。ただし、不快な臭いが発生する前は「煮込み感があって良い」香りを感じられるという結果が出ています。
煮込みの初期には「出汁の香り」はあるものの「調理感(煮込み感)」がなく、ちょうど良い煮込み時間で「出汁のおいしさ」と「煮込み感」が両立でき、煮込みすぎると「不快臭」が強くなって出汁の香りもかき消されてしまう、と考えられます。
その不快臭の原因は植物油脂や動物油脂の酸化劣化臭を代表する「アルデヒド類」であると推測されます。

おでんの香りはどう変化している?

おいしい香りのバランスをいつでも楽しむためには?

おいしい出汁の香りを維持する・・・つまりは「適度な煮込み感を残しつつも、不快な香りはマスキングする」にはどうすれば良いのでしょうか?マスキングといえば、香料やカテキンなどのポリフェノールなどで臭いを抑える手法がありますが、多くの場合は全ての香り・臭いを抑えてしまうため、「おいしさのもとである煮込み感」も抑えてしまいます。そこで、必要となるのは不快な臭いのみを選択的にマスキングする素材です。

クックファインSによる「おいしい香り」バランスの維持

不快な臭いだけを消す・・・そんな都合の良い素材があるのか?とも考えられますが、大豆の酵素分解物である「クックファインS」は煮込み感をマスキングせず、不快臭であるアルデヒド類だけをマスキングすることができる素材です。

実際に、先ほどのおでんの香り検証をクックファインSを添加した系で実施すると、添加区においては長時間加熱後にも「煮込み感」が丁度良い程度に付与された状態を維持できているのがわかります。

クックファインSによる「おいしい香り」バランスの維持

官能評価を裏付けるために、GC/MSにより臭い成分を分析すると、9時間加熱後に「不快臭」と言われる成分はクックファインS添加区で抑制され、「煮込み感」を代表する成分は抑制されていません。

クックファインSの秘密

この効果は、昔から食品の知恵として知られている事象を応用したものになります。お酒を飲んだ後やニンニクを食べた後、口臭が気になることがありますが、これらは食品の劣化時に出てくる臭いに起因しています。アルデヒド類やスルフィド類が成分として該当しますが、この口臭は牛乳を飲むことで抑制されることが知られていました。口臭抑制は牛乳中のたんぱく質によるものと言われており、卵や大豆にも同様の効果が見られます。ここに着目し、太陽化学独自の技術で大豆たんぱくを加工したものが「クックファインS」です。
今回は、「おでんの香り」を例にとりご紹介いたしましたが、乳製品の劣化臭防止や穀物の劣化臭防止など、様々な食品について劣化臭を特異的にマスキングする可能性がございます。ご興味をお持ち頂きましたら是非ご連絡くださいませ。

(2017年7月)

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