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おいしさを支える研究と技術 おいしさを支える研究と技術 おいしさを支える研究と技術

レオロジーの世界から捉える、マイクロゲルの不思議な特性

太陽化学のゲル化剤技術を活用し、独自の加工を施した微細ゲル加工品【ジェリコアMGB】。
昨年の記事においても、カスタードクリームの包餡性と口どけ・フレーバーリリースを兼ね備えることができる、魅力的な効果と可能性をご紹介しました。

▼【ジェリコアMGB】についてはこちら

太陽化学では、この物性についてさらに知見を深めるべく、客観的な物性測定の面からも研究を進めてまいりました。その成果として、2019年10月16日(水)~10月18日(金)、滋賀県立大学にて開催された第67回レオロジー討論会にて、「多糖類微細ゲルを添加した飲食品のレオロジー特性」のテーマで、口頭発表を行いました。
今回は本発表から、ジェリコアMGBを様々な飲食品に添加した際の官能評価とレオロジー特性との相関について評価し、レオロジーの世界から捉えられるその特性について考察を行った結果をご紹介します。

▼レオロジーについて、より詳しく知りたい方はこちら

キサンタンガム水溶液の口どけ評価

まずは単純な系として、ドレッシングや焼肉のタレなどによく使われるキサンタンガムの水溶液に、ジェリコアMGBを添加して評価を行いました。官能評価では、添加することで口どけが良くなり、さらにべたつきも抑えられることがわかっています。そこで、官能評価の違いがどのような物性値に現れるのか、またどのような作用機序で口どけ、べたつきが改善されるのかを探るため、レオロジー測定を行いました。

はじめに、「口どけが良くなる」という特徴から、添加により粘度が変化するのではないか、と仮説を立て、粘度測定(フローカーブ測定)を行いました。
しかし、この測定からは、仮説に沿うような粘度に変化は確認できませんでした。

図:キサンタンガム水溶液のフローカーブ測定結果

この結果を受け、フローカーブ測定では通常測定できない低せん断速度域では差が見られるのではないか、とさらに仮説を立て、降伏応力の測定を行いました。
すると、ジェリコアMGBを入れた試験区に、わずかながら応力が大きいところでのせん断速度の変化が見られ、降伏応力の向上が確認されました。
これらの結果から、ジェリコアMGBの添加により通常のフローカーブ測定では検出できない低せん断速度域での粘度が高くなっている、と推定されます。

図:キサンタンガム溶液の降伏応力測定

※フローカーブとは

試料が一定の状態(定常流状態)での粘度を、複数のせん断速度域で測定し、流動特性を評価する測定方法です。この流動曲線から、様々な工程における粘度を見積もることができます。例えば、飲む、噛むといった工程における物性は、せん断速度が10~102sec-1での粘度から推定することが可能です。

※降伏応力とは

試料を流動させるのに必要な力を指します。例えば、マヨネーズはパンの上でもダレずに留まりますが、チューブから出す際にはある程度の力で流動し始めます。これは、押し出そうとする力が降伏応力を上回った、ということを意味します。このように降伏応力が重力による力よりも少し大きいくらいにしておけば、そのままでは流れはしませんが、少しの力を加えるだけで容易に流動する物性にすることができます。

マヨネーズタイプドレッシング、プレーンヨーグルトでの口どけ評価

応用系として、マヨネーズタイプのドレッシングやプレーンヨーグルトにジェリコアMGBを添加し、キサンタンガム水溶液と同様の測定を行いました。こちらの測定においても、フローカーブ測定の結果に差は認められませんでしたが、わずかに降伏応力の向上が認められました。

図:マヨネーズタイプドレッシングでの降伏応力測定

図:プレーンヨーグルトでの降伏応力測定

マヨネーズタイプドレッシングの塗布性評価

ジェリコアMGBは、マヨネーズタイプのドレッシングに添加すると、食パンに塗り広げた際の塗り心地がスムーズになり、塗った表面も滑らかになる、という官能評価が得られています。そこで、この官能評価の違いについても探るべく、トライボロジー測定を行いました。
コントロールでは、特に滑らせた距離が40㎜を超えたあたりから、試験区間で摩擦力にばらつきが見られたのに対し、ジェリコアMGBを添加した試験区ではこの部分での摩擦力のばらつきが少ない、という結果が得られました。このことから、ジェリコアMGB添加により摺動性が改善された、と考えられます。

写真:トライボマスターTL201Tt

図:マヨネーズタイプドレッシング(コントロール)の摩擦測定

図:マヨネーズタイプドレッシング(ジェリコアMGB添加)の摩擦測定

作用機序の推定

以上の結果から、ジェリコアMGBを添加した飲食品での口どけやべたつきが改善される作用機序として
降伏応力が高くなる(=低せん断領域での粘度が高くなる)ことで高せん断領域との粘度差が高くなり、その
分口どけがよく感じられる
口腔内で摩擦力が低下(=摺動性が改善)することでべたつきや口どけが改善する
と推定されました。

図:ジェリコアMGBの口どけ、べたつき改善の作用について(イメージ)

最後に

ジェリコアMGBは、物性を大きく変えることなく口どけの向上及び口腔内のべたつきを改善できる、とても使いやすい製品であることが客観的な物性測定から示唆されました。
また、摩擦を低減する効果も認められたことから、工程中の配管での抵抗低減などの用途も考えられます。
今後も、作用機序の解明とともに新たな可能性を探求してまいります。これからも太陽化学の研究成果に是非注目していただき、様々な飲食品でご検討いただけますと幸いです。

(2020年2月)

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