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健康的な食生活とは

宗像 伸子
管理栄養士 食生活アドバイザー
有限会社ヘルスプランニング・ムナカタ取締役社長

健康寿命と平均寿命

健康寿命は、健康で日常生活を支障なく生活を送ることができる期間をいう。
自分のことは自分で何でもできる期間である。生活の質(QOL)を重視する考え方に基づき、WHO(世界保健機関)が2000年にこの概念を公表した。
平均寿命は、その年に生まれた0歳の子供が何年生きられるかを示す数値である。
健康寿命と平均寿命の差は、健康に問題を抱え、日常生活に支障が起きる「不健康な期間」にあたる。
平成22年の平均寿命は男性79.64歳、女性86.39歳、健康寿命は男性70.42歳、女性73.62歳で、男性は約9年、女性は13年短くなっている。この期間が「不健康な期間」となるのである。

健康寿命と平均寿命
健康寿命と平均寿命

平均寿命と健康寿命の差が拡大することで、医療費や介護費が増大することになる。生活習慣病予防や介護予防、健康増進などで平均寿命と健康寿命の差が短縮することができれば、QOLの低下を防ぐとともに医療費や介護費の負担が軽減できる。健康寿命世界一を支えている最大の原因は日本型食生活にあるといえる。毎日の食事が健康寿命のカギを握っている。

食事力とは

健康寿命を延伸するためにもっとも大切なことは、日頃の食事のとり方である。
「食事力」という言葉を使っているが、これはこれからの人生において気力、体力を維持するために、食事や食行動を自己管理する能力をいう。「食事力」は基礎体力をつけることと同等であるので、子供のうちから習慣として身につけさせるようにしたい。

食事力を身につけるために以下の事項を実践する。

1.1日にどんな食品をどのくらいの量を摂ったらよいかという目標を持つ。

栄養の欠乏症や過剰症を防ぎ、健康の維持・増進に必要なエネルギーや各種栄養素の摂取量を示したものが「日本人の食事摂取基準」である。

食事摂取基準の例
(30〜40代男女、身体活動レベルが「普通」の人、1人1日当たり)

日本人の食事摂取基準(2010年版)

栄養素(単位) 推奨量 上限量
エネルギー(kcal) 2,650 2,000 -
脂質(%)★ 20〜25%エネルギー -
タンパク質(g) 60 50 -
ビタミン ビタミンA(µgRE) 850 700 2,700
ビタミンD(µg)※ 5.5 5.5 50
ビタミンE(mgα-TE)※ 7 6.5 900/700
ビタミンK(µg)※ 75 65 -
ビタミンB1(mg) 1.4 1.1 -
ビタミンB2(mg) 1.6 1.2 -
ナイアシン(mgNE) 15 12 300/250(mg)
ビタミンB6(mg) 1.4 1.1 60/45
葉酸(µg) 240 240 1,400
ビタミンB12(µg) 2.4 2.4 -
ビオチン(µg)※ 50 50 -
パントテン酸(mg)※ 5 5 -
ビタミンC(mg) 100 100 -
ミネラル カルシウム(mg) 650 650 2,300
鉄(mg) 7.5 6.5/11.0 55/40
リン(mg)※ 1,000 900 3,000
マグネシウム(mg) 370 290 -
カリウム(mg)※ 2,500 2,000 -
銅(mg) 0.9 0.7 10
ヨウ素(µg) 130 130 2,200
マンガン(mg) 4 3.5 11
セレン(µg) 30 25 300/230
亜鉛(mg) 12 9 45/35
クロム(µg) 40 30 -
モリブデン(µg) 30 25 600/500
  • ナトリウムについては、1日あたりの食塩量で、男が9g未満、女が7.5g未満が望ましい。
  • ※印のある成分は目安量、★印は目標量、無印は推奨量。
  • 数値が2つある上限値は、左が男、右が女。
  • 鉄についての推奨量(女性)は、左が月経なし、右が月経あり。

上記した表のエネルギーと栄養素を過不足なくとるために、実行しやすい方法として「食品群」がある。この食品群には、3つの食品群、6つの基礎食品群、食品交換表、4つの食品群などがあるが、ここでは4つの食品群を紹介する。
日常摂取しているあらゆる食品を、栄養成分の特徴によって4つのグループに分類して「4つの食品群」としている。この分類したものを重量ではなく、「80kcalを1点」とする点数で表すことで、エネルギーの調節を簡略的にできるようにした食品構成である。

食事力とは

各食品群の特徴

  • 第1群

牛乳や卵は、良質たんぱく質、カルシウム、ビタミンA、B2、など身体に必要な栄養素が揃っている食品群で、できるだけ優先的にとるようにしたいグループである。
牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品は、各種の栄養素を含むが、特に期待できるのがカルシウムである。カルシウムの供給源として小魚があるが、吸収率で比較すると、小魚は約30%であるのに対して牛乳及び乳製品は50~60%と効率のよい食品である。
卵は、ビタミンCと食物繊維を除いたすべての栄養素が含まれる優れた食品で、特にたんぱく質や鉄、ビタミンA、ビタミンB群などが豊富に含まれる。特にコレステロールを多く含むために、いたずらに敬遠する人がいるが、卵のたんぱく質は、食品の中でもっとも良質で、食品から補わないと体内に摂取できない必須アミノ酸がすべて揃っている。卵は安価で容易に求められ、調理法が多種あり、簡単につくることができ、多様に活用できる。健康と食事との関連で、優れた栄養価値があるということに注目したい。

  • 第2群

このグループは、身体の血液や筋肉となる良質のたんぱく質源である。魚介類や肉類は平均して約20%のたんぱく質を含む。肉や魚は種類や部位によってエネルギー量に差がある。脂質が多い部位は1点当たりの重量が少なく、含まれるたんぱく質量も少なくなる。部位によって栄養成分が相当異なる。
肉に含まれる脂肪は飽和脂肪酸でこのとり過ぎは血中のコレステロールを増やし、動脈硬化や心疾患、脳血管疾患などのリスクとなる。魚の脂肪は多価不飽和脂肪酸を多く含み、この脂肪酸の中で注目されている物質にIPA(イコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)がある。これらの物質は血液の凝固を抑える作用や血栓を作りにくくして高血圧、心臓病、脳卒中の予防に効果がある。
豆は大豆とその製品で、「畑の肉」と呼ばれるように良質のたんぱく質を豊富に含み、カルシウム、鉄などやイソフラボン、サポニン、レシチンなどの物質を含む。
たんぱく質源として、肉や魚だけでなく、豆・豆製品を加えることによって、飽和脂肪酸のとり過ぎを防ぎ、生活習慣病の予防につながる。

  • 第3群

身体の働きをスムーズにするために必要なビタミンやミネラル、食物繊維を多く含むグループである。野菜の中でも緑黄色野菜(ほうれん草、小松菜、にんじん、かぼちゃ、ブロッコリーなど)はカロテンを多く含み、1日の野菜をとる量の1/3(120g)はこの緑黄色野菜でとる。淡色野菜(大根、玉ねぎ、白菜、ごぼう、れんこん、きゃべつなど)は2/3量(230g)をとるようにする。
食物繊維不足と云われている昨今、野菜を1日350gとることで食物繊維量は1日の60%をとることができる。しかし、食生活の欧米化に伴って、野菜類の摂取量が減少する傾向にある。食物繊維は1日に20gはとりたい量だが、実際には14gで、これは意識して食物繊維の多い食品をとらなければならない。
しかし、慢性的に不足が考えられる人には、株式会社タイヨーラボより発売されている、「サンファイバー」をとることを勧めたい。これは天然グアー豆から生まれた、毎日飲み続けても安心・安全な水溶性の食物繊維である。食物繊維は腸内環境を改善して、便秘、大腸がん、糖尿病、肥満、肌荒れなどを改善する作用がある。 水によく溶け、料理に加えても味が変わらないので使いやすいものである。

野菜はサラダをとっていれば十分摂れている、という人が多いが、これはかさが多いため、たくさん食べたつもりでも実質は思ったよりは少ない。また、生にこだわると緑黄色野菜がとりにくくなる。加熱することによって、栄養素のいくらかは減少するが、かさが減って量を多くとることができるので、生よりも栄養素量は多くとれる。緑黄色野菜はビタミンAが多く、油を使用した料理は有効なとり方である。

第3群

現在、野菜の摂取量は表のように20代~40代が1日に摂りたい量の2/3に過ぎない。毎週ある企業で、健康診断でチェックされた人の栄養相談を受け持っているが、大方の人が野菜不足で、1日に100gも満たない人も多い。野菜をしっかりとることで生活習慣病をある程度防ぐことができるのではと、実感するものである。
いも類の主成分はでんぷんで、他にビタミンC、B群、食物繊維などを含む。野菜と同様の効果を期待することができる。比較的貯蔵しやすく、野菜に比べて価格も安定しているので使いやすい食品である。
くだものは生でとることができるので強力なビタミンC供給源である。かんきつ類(みかん、オレンジ、グレープフルーツ、レモンなど)、いちご、かき、キウイ、パパイアなどはビタミンCを多く含む。
くだものに含まれる食物繊維は胃腸を刺激して腸の運動を促し、便秘予防に効果がある。

  • 第4群

エネルギー源として、力や体温のもととなる活動をするために必要な食品のグループである。穀類の主成分はでんぷんで熱量を多く含む。ごはん、パン、麺類のとり過ぎは肥満をもたらす。主食は1食に米飯なら150g(茶碗1杯)、パンなら1斤8枚切り2枚程度が適量。栄養素バランスを摂るために主菜(肉や魚介、卵など)、副菜(野菜、いも、豆腐など)のとり方に配慮する。
油脂は1gあたりのエネルギー量が9kcalあり、主食などの糖質食品の2倍以上ある。適量は胃の停滞時間が長いために腹持ちが良く、空腹感が起こりにくいため、摂取エネルギーのとり過ぎによる太り過ぎを防ぐ効果がある。しかし油脂のとり過ぎは、血中のコレステロールや中性脂肪を増加させて動脈硬化を助長させるので要注意である。
砂糖は99%が糖質のエネルギー食品である。無理をしてとる必要のない食品だが、砂糖の消費量は文明の度合いに比例するといわれており、味は砂糖によって豊かなものになり、心の安らぎを覚え、人生の楽しみを与えてくれる。しかし、このとり過ぎは中性脂肪を増やし、肥満を助長させ動脈硬化を促進する。

2.定刻に食事を摂る習慣を

1日3回の食事をとることで、身体に必要な栄養素がとりやすくなる。食事時間はくつろぎの場所であり、ストレスの緩和や、仕事や勉強の区切りをつけるなど、「食事は栄養の補給と休息の場」であるということを自覚したい。また、食事を中心にして、生活のタイムスケジュールを立てるようにすると、1日のリズムがとりやすくなる。生活の乱れは食事時刻の乱れに繋がる。不規則な食事が長く続くと、1日に必要な栄養素が摂れないだけでなく、安らぎの補給やコミュニケーションの補給ができず、心の安定がとりにくくなる。このような状態が長く続けば生活習慣病の一因になりかねない。

3.食事は家族や友人と楽しくとる

食事はコミュニケーションの場でもある。人と楽しく食事をすることは、人間関係を良くする上でも大切なことである。家族の崩壊は食卓に現れやすいと云われているが、一家団欒は、家族の崩壊の砦でもある。食卓のコミュニケーションの基本は「いただきます」「ごちそうさま」をはっきりということである。よく、心の中では「この料理はおいしい!」と思っていても口に出して云わないことがある。「おいしい」のこの一言が出ると、食卓が和やかになる。

4.手作りの食事を心がける

外食や中食(デパ地下やスーパーなどでお弁当やお惣菜を買ってきて家で食べること)が発達すると、自分で作らなくても生活できる時代になった。これに流されていると、自分で食事を作るのが面倒になる。しかし、外食や中食に拘ると、栄養的な問題が出てくることと、家族や仲間のコミュニケーションがとりにくくなる。買い物をするときの食材選び、調理をする、気に入った器選び、盛り付ける、という一連の行動は一種の創作活動である。食事を作ることは創造の喜びでもある。料理を作ることは五感に訴える「瞬間芸術」と思っている。目や鼻は(彩りの美しさを見る、香ばしさを嗅ぐ)、耳で調理する音を聞く(まな板で食材をトントンと切っている音)、カリカリと漬物をかんでいる音などは、おいしさを連想させる。つまり、視覚、嗅覚、味覚、聴覚、触覚の五つの感覚の訴えるという点で、どんな芸術作品よりも、人の心に迫るものがある。作品はすぐに消えるが、心の中にずっと残る。このような香りや音がある家庭はぬくもりがある。

「健康的な食生活」と題して書き連ねてきたが、拙者が長い間、病院の栄養士として勤務して痛感したことは、患者が病気になる前に、健康を維持できる食事とは何かを知ることが大切であるということであった。予防医学の面より、健康を維持できる食事とは何かを、いろいろな媒体を通して啓蒙し、現在に至っている。
「食事力」を、これを機会に見直して、これからますます健康で豊かな生活を送られることを切に祈るものである。

(2014年5月)

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