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求められるのは+αの価値?~アメリカの食物繊維市場~

アメリカから日本に波及して定着したトレンドである“腸の健康(Gut Health)”、2015年以前から注目度が高まり、腸の健康のための食事法やサプリメントの市場が爆発的に伸びました。現在も、“腸の健康”への興味関心は深く、健康関連の展示会ではそのための素材が多く出展されています。腸の健康に必須の栄養素とされる“食物繊維”について、日本のひと足先を行くアメリカのトレンドをご紹介しましょう。

日本とアメリカでの食物繊維摂取の傾向

厚生労働省が取りまとめる『日本人の食事摂取基準(2015)』では、食物繊維摂取の目標量が「成人(18歳~29歳)は男性20g女性18g/日」と設定されています。同省の提供する健康情報サイト(1)でも多くの生理効果が言及され、食物繊維は積極的に摂取すべき栄養素として薦められています。現在は、国から摂取推奨PRをするまでもなく、多くのメディアで食物繊維摂取の健康への有用性が取り上げられ、「食物繊維を摂取すべき」という意識が高まっています。ただ、日本の食物繊維の摂取量は男女ともに15g程度(H26国民栄養調査より)と、あまり芳しいものではありません。「食の欧米化」により摂取量が少なくなったといわれています。

では、アメリカではどうなのでしょうか?
実は、1980年代から野菜消費量の増加傾向が続いています。アメリカでは1980年には102kg(年間1人あたり)だった野菜消費量が2009年には123kgになっているのに対し、日本では123kgから102kgに減少しており(2)、逆転していることが分かります。この数字の変化は、国をあげた食育が進んでいることが背景のひとつであり、消費者意識の変化から食物繊維を積極的に摂るようになっていることがわかります。また、摂取すべき食物繊維の不足分を補うためのサプリメント形態の製品が多数あることから、多様な食物繊維の摂取方法があることが伺えます。

食物

食物繊維の定義とは??

日本では「ヒトの消化酵素で消化されない食品中の難消化性成分の総体」と定義されていますが、アメリカでは2016年より「消化されない不溶性または水溶性の3糖以上の炭水化物および植物性のリグニンであり、ヒトの健康に有益な効果がある生理活性を有するとFDAが認めたもの」とされています。日本での定義は物質の構造上決定されますが、アメリカではその生理機能まで認められないと、食物繊維”Dietary fiber”とは定義できないという点が大きく異なります。上記の定義を定めるのに合わせ、2016年に一度該当素材が発表されましたが、2018年6月に追加で素材リストが更新されています。

アメリカFDAよりDietary Fiberとして認められている素材リスト

アメリカFDAよりDietary Fiberとして認められている素材リスト(3)(日本語訳は太陽化学による)

日本とアメリカで定義に違いはあれど、食物繊維は身体の調子を整えるために必須の栄養素として認識されている点は同じです。どちらの国でもより摂取が必要とされており、世界全体で見ると、“食物繊維”市場は水溶性食物繊維だけでも13%程度の成長市場であると考えられている(4)ことから、今後も加工食品・サプリメントなどでの“食物繊維”市場は拡大するものと見込まれています。

アメリカの消費者意識とは? ~変化する“食物繊維”へのまなざし~

アメリカが健康トレンドの発信地となることからもわかるように、アメリカでは個人の健康への意識、特に予防意識が高い傾向があります。これは健康保険が民間のものしかなく、病気にかかった場合の治療費が非常に高くなることがひとつの理由と言われています。病気になってお金を使うよりもその予防のためにお金を使う方が良いということですね。体調管理のためにサプリメントを利用する頻度も高く、日本よりもベースの市場が大きいといえます。そんな中、不足しがちな食物繊維素材サプリメントへの意識も高いのは自然なことでしょう。

腸の健康が注目されるにつれて、お腹のなかの有用菌を活用するプロバイオティクス(良い菌を直接とる)、プレバイオティクス(良い菌を増やす餌を供給する)への注目度が非常に高まりました。これらに該当する商品は多数ありますが、アメリカの消費者はその商品や使われている素材について「誰が作ったものなのか」や「原材料はどんなものなのか」などを知りたがっており、より体に良さそうな表示(クリーンラベル)の製品を手にとる傾向にあります。具体的な例を挙げると、同じような商品がある中で、“グルテンフリー”、“ラクトースフリー”、“スーパーフード”、“オーガニック”、“砂糖なし”などのマークがついた商品に人気があります。

中でも、近年注目を集めているのは“Low-FODMAP”です。腸の疾患とされている過敏性腸症候群(IBS)の患者はアメリカ全人口の10-15%ほどであるといわれており、先日アメリカで行われた10,000の登録栄養士が参加する展示会であるFood & Nutrition Conference & Expo ( FNCE:当社も出展しました)では、Low-FODMAPエリアもあり、そのような食品を選択して食べる食事法を推奨していました。食物繊維素材はこのLow-FODMAPにあてはまらない素材がほとんどで、この食事法を取り入れようとする人で食物繊維サプリを摂取する人は、「自分の選んだサプリメントがLow-FODMAPなのか?」を把握する必要があります。

他にも近年盛り上がりを見せているのは、“non-GMO”、宗教対応としての“Kosher”、“Halal”、そして”ビーガン”や“エシカル”でしょう。
上記のような商品に該当するかどうかは、原材料から判断する必要のないように認証などを利用してパッケージ表記され、消費者が自分に合った商品を選択しやすいようになっています。

このように、アメリカでは「なんとなく食物繊維を購入する」というより、「より自分にとって体に止さそうな食物繊維を選択する」というように+αの価値で選択をするという消費者行動が目立ってきています。

“選択したい”消費者にぴったりの食物繊維

太陽化学ではアメリカ市場においても“選ばれる”食物繊維素材としてSunfiber®をご紹介しています。

Sunfiber

(2018年11月)

参考文献
(1) https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html
(2)「野菜の消費をめぐる状況について」 平成25年1月(農林水産省)
(3)The Declaration of Certain Isolated or Synthetic Non-Digestible Carbohydrates as Dietary Fiber on Nutrition and Supplement Facts Labels: Guidance for Industry (June 2018)
(4)TECHNAVIO.COM 65 GLOBAL DIETARY FIBER MARKET 2016-2020より

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